パパ〜、タルムード読んで〜。
うん、前回は「魔法のザクロ」という小話を読んだよね。
今日は違う話を読もうか。
魔法のザクロの格言は「ノーペイン・ノーゲイン」だよね!
わーい、今日はどんなお話読んでくれるの?
(タルムードは楽しく人生の本質を学べるからこどもへの読み聞かせにも最適だな)
こんにちは!「タルムード金言集」を読んで、タルムードは改めてためになる話が多いな〜と膝を打ったあいろんです。
今回はユダヤ人の思考法「タルムード」の面白いかつためになる小話を紹介します。
この記事は、こんな方に向けて書いています。
結論としては、下記になります。
それでは早速いってみましょう!
ユダヤ人の思考法とタルムードについて
今回の参考書籍「タルムード金言集」はタルムードを読みやすく、面白い格言や小話と共に紹介している本です。
本書は下記のような書き出しからスタートします。
ユダヤ人は世界で起こる不幸を一番先に予知し、一番最後に幸福を知る人々である
石角完爾著 集英社 (2012/4/20)
どういうこと?難しくてよくわからないよ〜
そるとちゃん、説明するから安心してね(笑)
本書には、下記の記載があります。
「僕ならこうする」「私ならこんな方法を取る」と、工夫やアイデアを子供の頃から議論するクセがついているため、ユダヤ人は「リスクコントロール」を自然に学べるようになっているそうです。
楽しみながら議論や想像を通じて思考力を上げていく…ユダヤ人にノーベル賞受賞者が多いのも納得です。
そしてこの議論の元となる説話が掲載されているのが「タルムード」になるわけです。
ユダヤの格言においてこんな言葉があります。
「この世には人を傷つけるものが三つある。悩み、いさかい、空の財布。三つのうち空の財布が最も人を傷つける」
この格言にユダヤ人の思考法が集約されている気がしますが、本書においても「心の平穏は財布次第」「お金が人生における扉を開ける大切な鍵」とユダヤ人のお金に対する冷静な視点が見て取れます。
この点、日本の金融教育は「お金を稼ぐ人は悪い事をしている」「汗水垂らして稼いだお金が美徳」のようなミスリードが多分に見受けられるので、見習うべき視点だとあいろんは考えています。
私はこのタルムードを知り、なぜ人口の少ないユダヤ人が様々な分野で優秀なリーダーが生まれ続けるか理解できた気がします。
ユダヤ人の常に物事を考え続けるハイレベルな「思考力」のベースは、タルムードを通じて受け継がれているんだね。
本書のおすすめの読み方について
さて、ここまで本書の内容について「見習うべき部分」を中心に解説しましたが、本書を読んでみて、「見習う必要ない部分」があるとあいろんは考えます。
内容は良くまとまっている反面、日本人ディスりがひどいと感じました。
「タルムード金言集」は、日系ユダヤ人の石角完爾氏が執筆しています。
この石角完爾氏は、書籍でも触れていますが、ユダヤ人の中でもウルトラオーソドックス派という宗派に属しているそうです。
ウルトラオーソドックス派はざっくり言ってしまうと必要以上の贅沢はせず、つつましく暮らすためのルールが非常に細かい宗派です。
書籍内でも全ての内容に対して「ユダヤの考え方は〜」に対比させる形で「日本はだからダメなんだ〜」という論法を展開させています。
改宗までした上で上記の宗派に属しているため、自分の生き方に誇りがあるのでしょう。多少しょうがない気もしますが、大抵の日本人読者は「日本をディスりすぎだろ」と思うこと請け合いの文章です。
上記より、ずばり本書のおすすめの読み方は下記になります。
- 著者の説明部分は飛ばす、もしくは読み流す
- タルムード説話部分のみを全て読み込む
- 特に面白いと思った話だけを参考教訓にする
正直、上記で十分だと思います。
本来はヘブライ語で書かれているタルムードから内容の抜粋や翻訳して書籍化してくれただけでも十分本書に価値はあるからね。
無駄な日本ディスりに対しては反応せずタメになる部分だけを読み込んでいくのがおすすめだね♪
タルムードのおすすめ小話4選
さて、いよいよ本書の目玉である説話(小話)についてあいろんの厳選4話を紹介します。
因みに書籍内では30程度のお話が紹介されています。どれも面白いので是非書籍をチェックしてみて下さい。
魔法のザクロ
物語のあらすじ
あるところに仲良しの3人兄弟が住んでいた
3人はそれぞれ修行に出て、10年後に落ち合うことにした
落ち合う時には、それぞれが旅で見つけたもっとも不思議なものを持ち寄る事にした
そこで3人は10年後、それぞれのもっとも不思議なものを持ち帰って合流した
その3人は持ち帰ったものを見せ合い、その不思議な力でお姫様の重病を治し、3人の内誰かがお姫様と結婚する事になるのだが…
教訓
実はこのお話、最終的にお姫様は末っ子と結婚します。
この末っ子は他の2人と何が違ったのか?それは末っ子だけはお姫様のために使った「不思議なもの」を半分失ったからです。
つまり末っ子はお姫様のために「リスクを取った」わけです。お姫様はそこに心打たれました。
「リスクは取りたくないけど、リターンは欲しい」
「月利◯%、元本保証の詐欺事件」
こんな言葉が日本で聞かれるのも、ノーペイン・ノーゲインの本質を理解していないからですよね。
少しでも多くの人がタルムードに触れれば、上記のような詐欺事件などもなくなるのではと考えます。
このお話は非常によくできているし、本質をついているとあいろんは感心しました。
また、「捨てる痛みが先」という点もしっくりきます。確実にゲインが見えるから捨てよう、という人間に道は開けないという点も納得感があります。
「損得勘定でしか動かない人って人間としての魅力を感じないなぁ」とずっと思っていたのですが、その理由がわかった小話でした。
なんとなく感覚的に理解できるから、子どもでもおすすめです♪
ナポレオンとニシンの話
物語のあらすじ
ナポレオンがヨーロッパを征服したときに、それぞれの国の協力者に褒美を取らせることになった
頼んだものは、下記の通り。
フランス人は「ワイン畑とワイン工場」
ドイツ人は「麦畑とビール工場」
イタリア人は「小麦畑とパスタ工場」
ユダヤ人は「ニシンを二匹だけ欲しい」
ユダヤ人の願いはすぐに叶えられ、ニシンをもらって帰っていった。
他国はユダヤ人を嘲笑していたが、結果的にその後ナポレオンはすぐに没落したので願いが叶ったのはユダヤ人だけだった
教訓
このお話も読んでいて非常に痛快でした。
「欲張らず、すぐ叶えられる小さなことから着実に実践していこう」という教訓ですが、油断するとユダヤ人以外のように大きくリターンを取りたくなってしまいますよね。
ニシンを二匹だけ、という辺りのラインも含めて絶妙で好きです(笑)
他の国の人たちはみんな、欲張りすぎて結局何も手に入れられなかったんだね。
金融用語の「流動性リスク」を直感的にわかるようにした感じのお話だね。
面白い!
金の冠をかぶった雀

物語のあらすじ
ユダヤのもっとも有名な王である賢者の王、ソロモン王は鷲に乗って空を飛び、領国内の隅々まで視察して回っていた
ある日、ソロモン王が鷲の背から落ちそうになったところを雀たちが落ちないように支えた
雀に大変感謝したソロモン王は、「なんでも欲しいものをあげる」と雀たちに言った
雀たちは巣に帰って、何をもらうか大激論した
「いつでも身を隠せるブドウ畑」
「いつでも水が飲める池」
「いつでも食べ物に困らないように落穂をまいてもらう」
雀たちは結局、「王様と同じ金の冠」を全員にもらうことにした
今まで見向きもされなかった雀たちは、金の冠をかぶっているために全国で猟師たちに狩られるようになってしまった
最後の5羽になるまで雀たちは撃ち殺され、命からがらソロモン王の元にたどり着いた雀は、「私たちが間違っていました。金の冠はもういりません」と言った
教訓
ユダヤの教えでは、「弱者は安全に少しずつ利益を何世代にも渡って積み重ねる」ことを説いているそうです。
「弱者が金持ちのように振る舞うと強者に狙われる」
これは真理的にしっくりきます。
この物語で重要なのは「金持ちになる前にこの考え方を知っておかないと取り返しがつかないことになる」という点でしょう。
お話の中では雀たちはなんとか5羽生き残りましたが、その他の雀たちは全員殺されてしまったのですから…
「お金持ちほど質素で地味な生活をしている」と聞いたことがあるけど、きっとこの教訓を知っているんだね。
「富は何世代にも渡って紡いでいくもの」という感覚はしっくり来ます。
富裕層はそうやって時間をかけてお金を増やしているんだろうなぁ。
青年アダムスの疑問
物語のあらすじ
アダムスはユダヤ教の勉強の中で、解決できない疑問にぶち当たった
「なぜ神は良い人に不幸を与え、悪い人に幸せを与えるのか?」
アダムスは町を訪れた預言者、エリジャにお願いして旅に連れて行ってもらうことにした
エリジャはアダムスを連れて行く代わりに「なぜだ」と質問してはならない条件をつけた
旅の1日目
2人は貧しい夫婦の家に泊まったが、ご馳走をふるまってくれた。翌朝、夫婦のたった一つの財産の乳牛は突然死んでしまった。
旅の2日目
大金持ちで強欲な商人の家に泊まったが、食事もふるまわれず軒下で寝ろと冷たくあしらわれた。翌朝立ち去る時、エリジャは嵐のために倒れていた木を元の状態に戻した。
旅の3日目
裕福で欲深い信者ばかりのシナゴーグに泊まったが、信者たちは2人に貧しい食事を与えた。エリジャは立ち去る時に「あなた方全員が立派なリーダーになるよう神は祝福されるだろう」と祈りを捧げた。
旅の4日目
貧しい村のシナゴーグに泊まったが、2人を手厚くもてなしてくれた。エリジャは立ち去る時に「あなた方の内のたった1人が立派な指導者になるように神は祝福されるであろう」と言って祈った。
ここで、アダムスは我慢できなくなり、禁じられた質問をしてしまいます。
エリジャは約束を破ったアダムスの前から立ち去りますが、立ち去る前に下記の真実を教えてくれます。
1日目の乳牛が死んだ時、同じ時刻にあの主婦が死ぬ予定になっていた。
2日目に庭の木を植え直したのは、その木の根本に埋まっていた5万枚の金貨を強欲な主人に見つからないようにした。
3日目のシナゴーグでは、全員がリーダーになって意見がまとまらないようにあえて全員を祝福した。
4日目のシナゴーグでは、逆に指導者は1人でよく、運営が適切に行われて村が栄えるように仕向けていた。
教訓
この話の主眼は「神ならどう考えるか?」という話であり、「物事には色んな側面がある」という当たり前かつ見落としがちな事実を認識させてくれます。
この教訓が特に際立って活きるのはやはり辛い、悲しい出来事が起きた時です。
出来事を神の目線から考えた時、感情から離れて俯瞰的に捉えられるマインドセットが人生の活力になると考えます。非常に考え方がタメになるお話です。
物事の一部や一時点を切り取っても、それが正しいかどうかはわからない。
非常に深くて、個人的に大好きな小話です。
どんなに理不尽に感じることがあっても、それはその時の目線だけだから後にはわからないもんね。
ラップアップ
今回はユダヤ人の思考法「タルムード」について記事にしました。
特にあいろんが勉強になった4つを紹介しましたが、その他にもたくさんのお話が載っていますので興味のある方は是非ご覧になってみることをおすすめします。
最後に一言。
タルムードはお子さんへの読み聞かせもおすすめですよ♪
それではまた!