書評

投資家必読「敗者のゲーム」は難しい?ウォール街のランダムウォーカーと比較

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そると

ねぇパパ、パパは投資系書籍の要約をブログにUPしているけど、「敗者のゲーム」はまだだよね?

あいろん

(ぎくっ)…実は昔に読んだんだけど、あんまり内容覚えてないから第8版が発売されたタイミングで読み直そうと思ってたんだよね。

そると

もう2022年の1月6日には発売されてますけど。遅い!

あと、「ウォール街のランダムウォーカーとどっちを読めば良いかわからん」という声があるからそれにも言及するように!

あいろん

はい、すいません…すぐにまとめます。

こんにちは!長期目線のインデックス投資家なら敗者のゲームウォール街のランダムウォーカーの2冊だけ読んでおけば間違いないと思っているあいろんです。

今回は2022年に第8版が発売され、世界で100万部を超える超ベストセラー「敗者のゲーム」を「ウォール街のランダムウォーカー」と比較しながら解説していきます。

この記事はこんな方に向けて書いています。

  • 敗者のゲームの概要を知りたい
  • ウォール街のランダムウォーカーとの比較情報を知りたい
  • 投資に関するおすすめ本を知りたい

結論としては、下記になります。

  • 「敗者のゲーム」は市場に居続ける大事さを説いている
  • 「ウォール街のランダムウォーカー」は投資と投機の違いを説いている
  • 2冊合わせて読むと投資家の心構えが腹落ちする

それでは早速いってみましょう!

「敗者のゲーム」について

「敗者のゲーム」は1985年に初版が発行され、36年の時を経て2022年に第8版が出版されなお話題に上り続ける投資本の超ベストセラー書籍です。

著者は米国公認証券アナリスト協会の会長をはじめ、資産運用界隈に大きい影響を及ぼす重鎮であるチャールズ・エリス氏であり、後述して紹介するバートン・マルキール氏からも下記のような賛辞を受けています。

「エリスはテニスの試合を例に取り、アマチュアは相手に負けるのではなく、自分のミスで自滅することが多い、と述べる。アマチュア同士で試合をすると、ミスが少ない方が勝つ。投資も同じである」

「エリスのメッセージは今日において貴重だ。コロナ禍で多くの人が家にいて、アメリカだけではなくヨーロッパやアジアでもギャンブルが広がるようになった今、スポーツへの賭けに加えて株の投機的売買が多くの人の娯楽になっている」

また、本書の特筆すべき点として「時代に合わせて内容が更新される」点です。

例として最新版である第8版では「退職後の債券投資」について再考すべきだと述べています。

上記は、本書が発行されたばかりの36年前とは債券や株式に対する手数料や商品ラインナップが変化している点からの結論です。

時宜にかなったエリス氏のアドバイスを簡単に入手できるのが「敗者のゲーム」の最大の魅力であり、投資の勝者になれる具体的な思考がギュッと詰まった良書です。

「ウォール街のランダムウォーカー」について

「敗者のゲーム」出版より遡ること12年前の1973年に「ウォール街のランダムウォーカー」は初版が出版されました。

2022年3月現在、2019年に出版されている第12版が最新版となっています。

本書の特筆すべきポイントは「個人投資家に対する啓蒙書ならびに実践の手引書」として、なぜアクティブ投資はインデックス投資に勝てないのか?理詰めで腹落ちさせてくれる点です。

著者のバートン・マルキール氏はプリンストン大学を代表する経済学者であり、金融の専門家中の専門家です。

本書はタイトルにもある通り、市場は「ランダム・ウォーク」いわゆる規則性があるようで全くない、というテーマにしています。

不確実性の多すぎる市場において、低手数料のインデックスファンドこそが投資の最適解になり得るという結論に対して膨大な内容を費やしています。

マルキール氏は本書の中で下記のように語っています。

「本書に副題をつけるとすれば、ゆっくりと、しかし確実に金持ちになる本だろう」

投資に絶対などありえない。

自分の想像通りに世界が動くなどありえない。

ただし時間と前提さえ間違えなければ、「お金を増やす」確率が高い方法は存在する。

個人投資家であれば「当たり前」に思っていることをいかに誰も実践できていないか、マルキール氏は熱を込めた文章で啓蒙してくれます。

両書の共通点について

  1. 共通点①投資の最適解はインデックスファンドである
  2. 共通点②時間軸を10年超の長期目線で見る
  3. 共通点③「リスク」と「リターン」の本質的思考

両書の概要紹介を終えたところで、あなたが1番気になる点を紹介していきます。

ズバリ、下記でしょう。

「何が違うのか?」

「どっちを読めば良いのか?」

「難しそうだけど大丈夫か?」

あいろんも投資を始めて数年は、同様の感想を持っていました(笑)

そして投資を始めたての頃はどうしても「株で億り人」や、「資産を倍にするトレード」的な本の方が気になってしまいます。なぜなら読んでいて面白いからです。

本ブログでは①両書の共通点②両書の相違点について下記で解説します。

その上で、少しでも興味を感じたら読んでみてください。両書とも読みやすく出来ており、インデックス投資で資産形成したい人にとっては何度でも読み返したくなる最高のエンターテイメント書籍となります。

共通点①投資の最適解はインデックスファンドである

「敗者のゲーム」著者のチャールズ・エリス氏は本書で下記の通り述べています。

「投資で長期的に成功したいなら、答えはシンプルだ。実行が簡単なインデックス・ファンドを買うこと。平均なんて嫌だ、市場に勝ちたいと思うかもしれない。しかし、個人がプロに勝とうとするなんて100年早い。」

そして、インデックス投資こそが投資界における「ドリームチーム」であり、手数料が低く、税金が安く、実行コストが下げられると主張しています。

「ウォール街のランダムウォーカー」においては、初版発行の1973年に著者のバートン・マルキール氏が下記のように主張していました。

「時価総額ベースで米国の4分の3をカバーしているS&P500に投資できれば、長期的にはほとんどの投資のプロを上回る。この指数に含まれるすべての銘柄をそっくりそのまま購入することが、株式投資を考えた時の簡単で優れた方法の一つである」

その後、本書のアイデアは注目され、1976年に一般投資家を対象とした最初のインデックス・ファンドが売り出されました。

時代背景や論法に多少の違いはあれど、結論は全く同じ場所に着地しています。

なぜ、ここまでインデックス・ファンドが世界中で話題になるのか。評価が高いのか。両書を読んでポイントをしっかり押さえておけば、多少の下落にうろたえる事もなくなり、安定した長期的資産運用が見込めるようになります。

共通点②時間軸を10年超の長期目線で見る

「敗者のゲーム」においては一章まるまる割いて時間が教える投資の魅力を力説しています。

運用期間が長ければ長いほど、ポートフォリオ全体の収益率は平均収益率に近づく。

個別証券の収益率の差は、期間が長くなるほど広がっていく。

運用期間が十分長ければ、短期では大きなリスクと見える運用手法を、不安なく取り入れることができる。

そして測定期間が長くなるにつれ、個々の年間収益率の違いが互いに打ち消され、平均収益率に近づいていく…ということになります。

一方、ウォール街のランダムウォーカーでも投資期間については最重要項目レベルで文章量多めに記載されています。

「株式投資の投資期間と平均リターンのちらばり方」のグラフは未だに語り継がれる伝説のグラフなので、見たことがあるという方も多いでしょう。

本書で「投資期間が25年以上で、配当を全額再投資し、ドルコスト平均法に従って追加投資を続ければ、株式のリターンは債券や預金保険の対象となる貯蓄よりも高いリターンが得られると考えて、まず間違いない」と述べられる根拠のキモは上のグラフになっています。

共通点③「リスク」と「リターン」の本質的思考

敗者のゲーム内で、ミスターマーケット(株式市場)の本質についてチャールズ・エリス氏は下記のように述べています。

「毎日の、また月ごとや年ごとのリターンに法則性は見られないが、全くないわけではない。ミスターマーケットの放埓な動きの影には、平均への回帰という明らかな傾向があるからだ」

上記については、バートン・マルキール氏の考えとも明らかに一致しています。リスクもリターンも統計学に落とし込めば恐るるに足らず、という点です。

更に「ウォール街のランダムウォーカー」にはリスク許容度についてマルキール氏はJ.P.モルガン氏が友人と話した会話内容を記載しています。

「友人は保有株の見通しが心配で夜も眠れず、いったいどうすればいいのかねと尋ねたものだ」

するとモルガン氏は、「安眠できる水準まで株のウェイトを下げるんだ」と答えた。

「どの投資家も自分にとって最適な(期待)リターンとリスクのバランスが、どこにあるかを選ばなければならない。この安眠水準だけは、本人にしかわからないのだ。」

上記は資産運用において真理中の真理です。正直そこらへんの投資書籍にも書いてあることがあるでしょう。しかし、本書を読めば発言の重みが全く異なることに気づくでしょう。

「あなたの安眠水準を決めることこそ、すべての投資プロセスの出発点なのだ」

リスクとリターンの本質的思考を得られるのも、名著として語り継がれている両書の共通点です。

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両書の相違点について

  1. 相違点①グラフ・図の挿入
  2. 相違点②結論に導く切り口「サル」と「テニス」
  3. 相違点③「市場に居続ける」意味

前述の通り、「敗者のゲーム」「ウォール街のランダムウォーカー」には投資家にとって本質的に必要な共通項が多く語られています。

しかしながら、当然のごとく内容や切り口が異なる点もあります。

主だった点を3点紹介します。

相違点①グラフ・図の挿入

「ウォール街のランダムウォーカー」はとにかくグラフや図の入れ方が秀逸です。

膨大な研究結果に基づいた結論を、わかりやすく図やグラフでまとめているので視覚的にもわかりやすいという特徴があります。

前述の「株式投資の投資期間と年平均リターンのちらばり方」は1950年〜2017年の統計学をたった1スライドで直感的に理解できます。

また、株式と債券のリターンの違いや、同じ株式でも大型株と小型株ではどう違うのかの比較図なども本書には入っています。

正直、「ウォール街のランダムウォーカー」に関しては、文章を読まなくてもグラフや図を見るだけで十分に購入する価値がある書籍です(笑)

「敗者のゲーム」でも同様に図やグラフ、挿絵は入っています。

しかしながら図やグラフのお役立ち度については、ただ一点を除いてウォール街のランダムウォーカーの方がわかりやすいかなぁというのがあいろんの所感です。

相違点②結論に導く切り口「サル」と「テニス」

「比喩を使って説明すると、物事はわかりやすくなる。すぐれた比喩は、私たちの考え方や市場をも動かす」

上記はバートン・マルキール氏が「敗者のゲーム」に寄せた序文です。

前述の敗者のゲーム紹介でも触れた通り、チャールズ・エリス氏は株式市場をテニスの試合に見立て、プロのようにドロップショットや力強いサーブで点を取って勝つのではないと述べています。

ミスが少ない方が勝つのだから、淡々とボールを返し、相手のミスを待つのが最良の選択と説く。それが「敗者のゲーム」の特徴です。

一方の「ウォール街のランダムウォーカー」においてのランダムウォークをわかりやすく喩えた比喩があります。

「サルがダーツを投げて選んだ株の運用成績と、ファンドマネージャーの運用成績は同じである」

まさに「ランダム・ウォーク」をわかりやすく例えている名言として、著書の要約としても使われることの多い文言です。

本書によるとバートン・マルキール氏は実際に学生たちに架空の株式を作らせて、コイン投げの裏表により上昇と下降を繰り返すチャートを作成してチャーティスト(チャート分析信仰者)に見せたそうです。

その時のチャーティストの反応は「これは、なんていう銘柄だい。今すぐ買いだ!こいつは古典的なパターンだ。来週中に少なくとも15ポイントはいけるはずだ」というものでした。

そして上記チャートはコイン投げによって描かれたものだと真相を話した時、チャーティストは決して好意的な反応ではなかったそうです。マルキール氏がその後「チャーティストという連中は、ユーモアのセンスがない」と勝手にテストしといてぶった斬るシーンは中々秀逸です(笑)

上記のような「比喩表現」について両書とも巧みに使っていますが、当然ながら例えも切り口も違うので同じような結論でも全く違う読み物として楽しめます。

相違点③「市場に居続ける」意味

前述の相違点①にて、全体的なグラフや図に関しては「ウォール街のランダムウォーカー」に軍配があがると述べました。

しかしながら、「敗者のゲーム」にはウォール街のランダムウォーカーに記載されていない強烈なパンチラインが掲載されています。それは「市場に居続けた方が良い」という結論をハッキリと決定づけてくれる内容です。

上図はS&P500の36年間のデータの中で、ベストデーを逃した時の株式のリターンに与える影響のグラフです。上記の要旨は下記の通りです。

最も上昇した10日を逃すだけで、リターンの平均水準は11.4%から9.2%へと低下する。

更に20日間ベストを逃すと、7.7%に低下する。

20年間の株のトータルリターンのすべてはベスト「35日間」に達成されている。

上記の35日間は、集計した5000日の取引日の1%にもならない。

チャールズ・エリス氏は上記をもとに下記のように結論づけます。

「もし私たちに、それがどの月かを見分けることができれば、利益は計り知れない。しかし、そんなことは不可能だ。現時点でわかることは、このたった2日間を逃したら、20年間にわたって蓄積される利益のすべてを失ってしまうということだ」

そして上記をチャールズ・エリス氏は後世に残る名言で締めくくります。

投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならない。

上記のエリス氏の文言を読んだ瞬間、あいろんは鳥肌が立ちました。なぜなら自分が長年悩んでいた下記の悩みが一瞬にして解決したのを感じたからです。

  • インデックスファンドでもある程度利益が出たら利益確定した方が良い
  • 暴落時に指をくわえて見るだけ、というインデックス運用に納得がいかない
  • 投資は「タイミングの差益」をとらないと利益を出すことが出来ない

自分の勝手な判断で「底だ」「天井だ」と思ったタイミングがもし稲妻に似た別物だったら?そしてその後に本物の稲妻が届いたら?

上記を考えると、「市場に居続けない」ことがいかに愚かがよく分かります。「インデックス投資はタイミングを読まなくて良い」という真意はこれだったのか…!と震撼したものです。

上述は「ウォール街のランダムウォーカー」との比較相違点というよりは、「敗者のゲーム」の唯一無二の痺れるポイントと言って良いかもしれません。

個人的には、この「稲妻」の説明だけでもチャールズ・エリス氏の思考と比喩を存分に味わえる極上のエンターテイメントであり、敗者のゲームが絶対に買いである強い理由と考えています。

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結論:難しい事は書いてない

前述の通り、共通点も相違点もありながら「ウォール街のランダムウォーカー」「敗者のゲーム」は他の追随を許さない良書として君臨し続けています。

結論としてまとめると、下記になります。

  • お金は投資すると増えるというデータがある
  • データ見るとインデックスファンドが良いっぽい
  • その他にも色んな考え方があるから、それを調べてみたけどやっぱりインデックスファンドが良いっぽい

ざっくり書くと、上記のような話くらいしかしていません(笑)

しかしながら、投資をしていると必ず訪れる「不安」や「欲望」に悩んだ時に立ち戻れる根拠が膨大な量記載されています。

「ステージや環境の変化が起きたごとに、何度でも読み返したくなる」

これこそが何よりも両書が持つインセンティブであり他書籍へのアドバンテージでしょう。

ラップアップ

今回は投資界の超ベストセラー「敗者のゲーム」を「ウォール街のランダムウォーカー」と比較しながら解説していきました。

刺激的な内容も嫌いではありませんが、やはりインデックス投資の素晴らしさに立ち戻るにはこの二冊がベストです。

食わず嫌いの方も、見える世界線が変わるので是非お試しあれ。

最後に一言。

そると

パパも偉そうに言ってるけど最初の5年くらいは面倒くさがって読んでなかったよね?

あいろん

そるとちゃん、シッ!

それではまた!

ABOUT ME
あいろん
30代半ばのサラリーマン。 大学卒業後、中堅メーカーに就職。 現在は、大手IT系企業に勤務。 プライベートでは1児の父。 娘のそるとちゃんを溺愛しています。 仕事・投資・その他マネーハック的な記事含め書いています。 FIREは目指していますが、働くのが苦でない系サラリーマンです。
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