パパは小さい頃からずっと野球をやってきているけど、1番影響を受けたプロ野球選手って誰なの?
元中日ドラゴンズ監督で、三冠王も獲得している
落合博満さんだね。
そうなんだ。
落合さんは具体的にどんなところがすごいの?
よくぞ聞いてくれました。
落合博満氏は非常に策士だからビジネスにも通ずるところが多いのだよ。
まずは落合さんが中日の監督になった1年目の話なんだけど…ペラペラ
そうなんだぁ…(パパの饒舌モードをオンにしてしまった)
こんにちは!2000年代の野球は、落合監督率いる中日ドラゴンズが盛り上げてくれていたと感じているあいろんです。
今回はプロ野球選手として史上初の三冠王を三度獲得しながら、稀代の名将として中日ドラゴンズの黄金期を作り上げた「落合博満」氏の凄まじさとビジネスに応用できるテクニックを紹介します。
この記事はこんな方に向けて書いています。
結論としては、下記になります。
それでは早速いってみましょう!
参考書籍:「嫌われた監督」について
2021年に落合博満氏が中日ドラゴンズの監督を務めた当初から、退任までのリアルを綴ったノンフィクション書籍「嫌われた監督〜落合博満は中日をどう変えたのか〜」が発刊されました。
本書は落合監督就任当時、日刊スポーツ記者として落合監督の8年間を誰よりも丁寧に取材していた鈴木忠平氏が「週刊文春」で連載していた人気コーナーを書籍化したものです。
本書は発売から2年を経過しても、Amazonの4,000件を超えるレビューで評点4.7という信じられない高評価を叩き出しています。
私は本書は「面白いを超えて感動すら覚える」良書だと感じています。
本書のあらすじ部分だけでも読んだら鳥肌が立ちます。
パパがすすめて読んだお友達も、漏れなくみんな感動して大号泣しているんだよね。
パパが今までにたくさん読んだ書籍の中でもTOP3には入ると断言するほど、内容の濃い本です。
「なぜ、語らないのか。なぜ、俯いて歩くのか。なぜ、いつも独りなのか。そしてなぜ嫌われるのかーー。」
改めて歴史を振り返ると、落合博満監督が率いていた中日ドラゴンズの強さは突出していました。
中日ドラゴンズの監督を務めた8年間で、落合監督は下記の成績を残しています。
あまり野球を知らない人にはピンと来ないでしょうが、8年間全てでチームの年間順位が3位以上(Aクラス)は異次元の成績です。
そんな人落合さん以外に見たことがありません。
更に、落合博満氏は「オレ竜」と称された誰にも媚びずに生きていく人生の哲学を持ち合わせていました。
そんな落合氏の葛藤や秘められた想いも含めて丁寧に拾い上げて、言語化している鈴木忠平氏は取材当時から「あのライターの記事は臨場感が段違い」と言われ、注目されていた存在です。
そんなライターさんが書いていることもあり本書は野球を知らない人でも十分楽しめます。
お涙頂戴場面は一切ないのですが、私は読後には泣いていました。
パパは「落合さんの考え方は勝つための確率を高めていくという意味でビジネスに通ずる部分が多い」とも感じています。
今回は、その中でもパパが特に重要だと感じた5つのポイントをピックアップして紹介していきます♪
落合博満氏から学ぶビジネステクニック5選
- 徹底した現場主義
- 再現性を重視
- ニーズの本質を掴む
- 相手の目線で考える
- 組織論は「全体最適」
徹底した現場主義
落合氏は、番記者に対してサービス的なコメントをほとんどしない事で有名な人物でした。
「お前ら、もっと野球を見ろ。見てりゃあ、俺のコメントなんかなくたって記事を書けるじゃねぇか」
これが落合氏の持論でした。
そして駆け出しの記者だった著者が上記を実践してグラウンドで打撃練習を見ていた時に、落合監督は気まぐれに声をかけます。
「ここから毎日バッターを見ててみな。同じ場所から、同じ人間を見るんだ。それを毎日続けてはじめて、昨日と今日、そのバッターがどう違うのか、わかるはずだ。一年間続けてみろ。そうしたら選手のほうからお前に聴きにくるようになるはずだ」
自分の目で現場感を養え。
そこから真理を見出せる記者なら選手からも信用されるって事を言っているのかな…難しいねぇ。
そるとちゃん、本質ついてるね。
このセリフ、何気なく言ってるけどめちゃくちゃ深いんだよなぁ。
そして奇しくもこの話を著者が聞いたシーズンに、落合氏は監督として大きな決断を下します。
当時の中日ドラゴンズにとって象徴的存在だった「ミスタードラゴンズ」立浪和義氏を急にレギュラーから外すという決断をするのです。
えー!?
なんでそんなことするの!
当時は、本当に誰もがそるちゃんと同じリアクションをしていたんだよ(笑)
当時の立浪氏はまだまだバッティングも健在だったからね。
立浪氏は納得がいかず、世論も含めて「なぜ立浪を外すのか?」全く理解が出来ない状況でした。
しかし本書には、世間に決して明かされなかった当時の理由が記されています。
この真実を知れるだけで野球ファン的には本書は買いのレベルです。
落合氏は著者にポツリと話しました。
「試合中、俺がどこに座っているかわかるか?」
「俺が座っているところからはな、三遊間がよく見えるんだよ」
「これまで抜けなかった打球がな、年々そこを抜けていくようになってきたんだ」
話を聞いて、著者は背筋がゾクっとしました。
この裏話エピソードは私も読んでいて震えました。
つまりまとめると下記です。
ミスタードラゴンズと呼ばれた立浪選手すら、特別扱いしなかったんだ…簡単には出来ないことだね。
奇しくも同じ中日ドラゴンズで2022年シーズンから当時の「ミスタードラゴンズ」立浪和義氏は監督に就任していますが、2年連続でチームは最下位に低迷しています。
「冷静な判断と勝利への執念」が落合イズムの根幹でしたが、残念ながら立浪監督が率いているドラゴンズにはどちらも感じられません。
落合さんがいかに優秀だったかは結果が物語っています。
再現性を重視
落合政権の初期、絶対的な存在となっていたバッターといえば「福留孝介」氏です。
福留氏は入団当時から3番バッターとして圧倒的な成績を残し、主力打者として君臨していました。
落合監督もその実力を認め、福留氏に下記のようなアドバイスを残します。
「お前はもっと数字を残せる。一流ってのはな、シンプルなんだ。前田を見ておけーー」
当時、広島カープの主力打者として「天才」と呼ばれていた前田智徳氏を引き合いに出し、その洗練された無駄のない動きを福留氏のベンチマークとさせました。
また、落合監督はホームランの数を増やしたくて悩んでいた福留氏に下記のように伝えます。
「ホームランは力で打つもんじゃない。技術で運ぶもんだ」
この言葉、めちゃくちゃ痺れます。
当時から落合監督が「常識の外側にいた人間」ということがはっきりとわかる言葉です。
当時の野球の常識は、現代と異なっていました。
「ホームランは力で打つもの」
「ホームランを打つにはスピンをかけすぎるアッパースイングではなく、ボールを水平に捉えるレベルスイングで行う」
プロ野球の世界では2017年ごろからメジャーリーグで行われたデータの証明(フライボール革命)をきっかけに常識が変わっていきました。
ホームランを打つには「ボールにバットを下から入れる」アッパー気味のバッティングの方が好ましいとされています。
すごすぎ…当時から落合さんは自分の理論を持っていて、しかもそれが正しいと後になって証明されたってこと!?
落合氏は当時から常識にとらわれず、自分なりの「再現性」のものさしを信じられない程高いレベルで持っていたということがよくわかります。
この時、前述の「立浪問題」でチームから孤立していた落合氏のバッティングの助言を聞き入れながら進化した福留氏は、本書で下記のように語っています。
「監督は他の誰よりも俺のバッティングを見てきた人だから。どこが違うのか、何が狂っているのか一番わかるんだ。だから訊く。今日はどうですか?って。それだけだよ」
福留氏も落合氏の高い再現性に基づく理論をしっかり吸収して、更なる高みへと登っていきました。
福留孝介さんも周りの雑音や先入観にとらわれず、野球人として落合さんのことを認めていたから助言を聞き入れたんだね。
そしてこの年、福留さんは打率3割5分1厘、31本塁打、104打点というとんでもない成績を叩き出しました。
首位打者とMVPを獲得してチームを優勝へ導く原動力になるなんて、しびれる活躍だね♪
「俺は、たまにとんでもなく大きな仕事をする選手より、こっちが想定した範囲のことを毎日できる選手を使う。それがレギュラーってもんだろう」
本書で落合氏が語っている上記の言葉は、「再現性の重要性」を何よりも端的に表していると感じます。
ニーズの本質を掴む
前述の通り、着々とチームの育成や強化に着手していた落合監督率いるドラゴンズ。
その「強さ」が際立ってきた一方、下記のような不満がささやかれるようになっていました。
いつの時代も「外野の声」は、時に正常な判断すら狂わせます。
しかし落合氏は一貫して主張を曲げませんでした。
「勝てば客は来る。たとえグッズか何かをくれたって、毎日負けている球団を観に行くか?俺なら負ける試合は観に行かない」
上記はぐうの音も出ない正論です。
当時の中日ドラゴンズは賛否両論ありながら、誰しもが「強いチーム」と認めて球場に足を運んでいたからです。
誰よりも勝負にこだわっていたんだよね。
プロ意識の固まりだよね。
プロである以上、負けていい場面なんか一度もないと落合さんは考えていたんだね。
落合監督の中でもっとも有名なエピソードといえば、2007年の日本シリーズで起こった「山井完全試合未遂事件」です。
先発の山井投手を完全試合目前で投手交代させて「記録より勝利を優先させた」という批判を巻き起こしたエピソードは野球ファンの間ではあまりにも有名です。
本書では「山井の完全試合未遂事件」についても著者の丁寧な取材によって当時の真相をよりリアルに明かしています。
落合氏は以前、情で采配をして失敗した経験から確固たる信念を持っていました。
後に落合氏は著者に語ります。
「監督っていうのはな、選手もそのスタッフもその家族も、全員が乗っている船を目指す港に到着させなけりゃならないんだ。誰か一人のために、その船を沈めるわけにはいかないんだ」
プロ野球とは真剣勝負の場でありなによりも「勝利」が優先されるべきである。
その先に関わる人たちの幸せがある。
そのためには非情と呼ばれようが絶対に勝つ。
落合氏の勝利への執念に当時から特別なものを感じていましたが、ビジネスの経営判断をする立場になって落合さんのこだわっていた「本質」がわかりました。
落合氏は、全てを削ぎ落としてでも「勝利」が全員を幸せにするニーズだとわかっていたからあそこまで勝利にこだわっていたのだと。
相手の目線で考える
本書は落合政権の中日ドラゴンズを代表するような大物選手たちのエピソードを中心に描かれています。
- ミスタードラゴンズ「立浪和義」
- センターラインの一角「荒木和博」
- 勝負強さNo. 1「森野将彦」
- 2006年セリーグMVP「福留孝介」
上記の選手たちのエピソードがある中で、知名度では劣る小林正人選手のエピソードも本書に収録されています。
小林正人氏に関しては、正直中日ドラゴンズファン以外はパッと出てこない選手です。
小林氏は当時の中日ドラゴンズではクビ寸前の立場から落合氏に「役割」を与えられて輝いた選手として有名な選手です。
小林氏が落合監督から与えられた戦場、それは「ワンポイントリリーフ」です。
ワンポイントリリーフは、勝負の場面を左右する局面において強打者を1人抑えて流れを自軍に引き込む重要な役割です。
小林氏は左バッターの強打者が打ちづらいようにフォームを改造して、左投げのサイドスローという希少性を武器に活躍しました。
小林氏は、本書で自分をトランプの「2」に例えています。
平場での序列は低いが、ある特定のゲーム(大富豪など)において、エースやキングにも勝つことが出来る。
そしてそんな小林氏は勝利にこだわる落合氏の大事な「ピース」となって強いドラゴンズを支える一つの要素となっていました。
本書では、バッターの重圧に怯んで四球を出してしまった小林氏に対して落合氏がかけた言葉が紹介されています。
「相手はお前を嫌がっているのに、自分で自分を苦しめることはないんじゃないか」
相手の目線で考えて、嫌な攻め方をする。
勝つためには相手に気持ちよく野球をさせない。
上記は勝つために非常に本質的かつ重要な考え方です。
本書を読んで、小林氏がワンポイントリリーフで出てきた時の「打ちづらそうだなぁ」という絶望感を思い出しました。
当時はわかりませんでしたが、これが全て落合氏の考えた戦略だと本書を読んで知り時を超えて戦慄した事は言うまでもありません。
落合監督はスター選手ばかりじゃなくて、小林選手のような苦労人にも役割を与えながら適材適所でスペシャリストを育成してチームを強くしていたんだね。
組織論は「全体最適」
本書では「山井・岩瀬の完全試合継投試合」と並ぶ落合政権最大のミステリー「荒木・井端のコンバート」についても丁寧に取材をしています。
パパは当時から「守備の名手2人の守備位置を変えるなんて流石に意味がわからない」とかなりコンバートに疑問を持っていたよね。
長年落合氏の下で「守備の名手」としてセカンドを守り続けた荒木和博氏は、ショートを守っていた井端氏との「アライバコンビ」として非常に有名な存在です。
しかし落合政権の晩年にあたる2010年、荒木氏は井端氏と入れ替わる形でショートにコンバートされます。
プロ野球の世界でポジションが替わる「コンバート」は珍しくありません。
しかしレギュラーのセカンドとショートでお互いに名手と言われた選手がそのまま入れ替わるコンバートは、プロ野球界でも他に類を見ませんでした。
守備の名手として慣れ親しんだセカンドを離れ、荒木氏は2010年に年間で20エラーを記録しました。
セカンドからショートにコンバートされた荒木氏は送球の距離が長くなった影響で、エラーが倍増したのです。
6年連続でセカンドで獲得していた守備の名手に贈られるゴールデングラブ賞も途絶えました。
この「アライバコンバート事件」は中日ファンのみならずプロ野球界全体でも、下記のように当時から騒がれていました。
しかしながら、本書ではコンバートの真相が明らかにされています。
この話は、読んだ瞬間に落合氏の考え方の深さに身震いしました。
そもそも、プロの世界に入ったばかりの荒木氏はバッティングが良くありませんでした。
それでも落合氏は荒木氏に下記のような言葉をかけます。
「野球ってのはな、打つだけじゃねぇんだ。お前くらい足が動く奴は、この世界にそうはいねぇよ」
この痺れる言葉があったから、荒木氏はプロ野球生活でどんなに厳しい守備練習にも耐えられたそうです。
荒木氏は結果として、落合政権のセンターラインを支え続けます。
落合さんはなにかと勘違いされがちだけど、人心掌握も含めて上手な監督さんなんだね。
そして当時のコンバートについての真相を、本書で落合氏は語っています。
「荒木だけは、あいつの動きだけは、八年間ほとんど変わらなかった」
落合氏がコンバートの時に見ていたのは、実は荒木氏ではなかったのです。
その横でショートを守っていた井端氏の「足の衰え」をつぶさに見ていたのでした。
今までの井端さんなら「捕れていたであろう」打球と「誰ならその打球を捕れていたのか」を照らし合わせ、荒木さんをコンバートしたのね。
つまり、荒木さんを誰よりも信用していたってことだ。
そう!そしてその証拠に、荒木氏がショートにコンバートされた2010年に中日ドラゴンズは優勝しているんだよ。
送球エラーを差し引いても荒木さんのショートの守備範囲の広さがどれだけ貢献していたか、落合監督には見えていたんだね。
深すぎてしびれる♪
組織論やマネジメントの際に「全体最適」という言葉は聞こえが良く、耳障りも最高です。
「素晴らしい経営者ほど、常に先を見ている」という言葉があります。
従業員には理解できない事でも、経営者の時間軸で考えると理にかなっているという理論です。
上記は正に凡人には理解できない広い視野を持った落合氏ならではの眼力だと、非常に感服しました。
ラップアップ
今回は中日ドラゴンズの黄金期を作り上げた「落合博満」氏の凄まじさとビジネスに応用できるテクニックを紹介しました。
現実は小説より奇なり、とはよく言ったものです。
「嫌われた監督」を読んで何も感じなかったという人に今まで出会ったことがないレベルのおすすめですので、気になった方は是非読んでみてください。
マジでおすすめです。
最後に一言。
落合氏の考え方は、投資やビジネスに応用できる思考法です。
クレバーで勝利への執念が人一倍強い、熱い男なので参考になります。
それではまた!