パパはノンフィクション系の中でも、住宅系の会社の実話が大好物だよね。
そうだね、自分が精通している業界だからね。
10年前のハウスメーカーは大体ほんとにひどい労働環境だったと思うよ(笑)
そうなんだ。
住宅系の会社は闇が深そうだもんね…
ドラマよりドロドロしてて面白いよ(笑)
今回は特に面白かった3つの本を紹介します!
こんにちは!宅地建物取引士の資格を勉強して、取得したあいろん(@iron_money)です。
今回は「住宅業界」の闇に迫るノンフィクション系のおすすめ書籍3冊を紹介します。
この記事はこんな方に向けて書いています。
結論としては、下記になります。
それでは早速いってみましょう!
住宅業界の闇が暴かれる!ノンフィクション系おすすめ書籍3選
- 保身〜積水ハウス、クーデターの深層〜
- 決戦!株主総会〜LIXIL死闘の8ヶ月〜
- 住宅営業マンぺこぺこ日記〜「今月2件5000万!」死に物狂いでノルマこなします〜
保身〜積水ハウス、クーデターの深層〜
「積水ハウス地面師詐欺事件」
2017年に起きた業界最大手の積水ハウスが「地面師」に騙された詐欺事件。
大ニュースとなり、当時さまざまな報道がなされました。
本書はその「地面師事件」の真相から物語が始まります。
クーデターを起こされ、その後の不可解な人事で当時の和田会長は退任に追い込まれます。
内部事情に切り込む、迫真のノンフィクション書籍となっています。
積水ハウスといえば、日本人であれば誰もが一度は聞いたことがある程の大企業です。
会社の概要は下記になります。
- 大阪に本社を置くハウスメーカー
- 東証プライム所属
- 母体は現在セキスイハイムブランドを展開している積水化学工業のハウス事業部
- 独立後はセキスイハイムと別会社
- 日経平均株価およびTOPIX Large70、JPX日経インデックス400構成銘柄の一角
- 戸建住宅シェアNo. 1、業界でも大和ハウスに次ぐ業界第2位(売上高2兆超)
改めて見ると、日本を代表するような大会社なんだね。
積水ハウスはパパも、その財務や将来性から一目置いています。
個別株式を保有している会社でもあります。
上記のような、名実ともに住宅メーカーのリーディングカンパニーである積水ハウス。
クーデターが起きたのは、2018年1月のことでした。
当時の地面師事件の責任者であり杜撰な管理体制を許していていた当時の社長(阿部氏)解任に向け、和田会長は動いていました。
ところが、和田会長は阿部氏の多数派工作によるクーデターを受けます。
結果的に、和田会長は返り討ちに遭って会長職を辞任させられます。
その後も2020年に行われた株主総会で同社のガバナンスを巡り、両者は真っ向からプロキシファイト(委任状争奪戦)で対立しました。
あらすじだけで、ものすごい強烈な話だね。
本書では「なぜ和田会長辞任という筋の通らない話が起きたのか」「事の発端となった地面師事件の真相はなんだったのか」に徹底的に切り込んで、関係者に取材を重ねています。
めちゃくちゃ面白いけど、ドラマじゃなくて実話ってところがすごいね(汗)
上記から浮かび上がる、「組織を腐らせる保身」「上司は神様で思考停止」は恐怖すら感じさせます。
住宅メーカーには、多かれ少なかれ上記のような「軍隊」を思わせる会社が多いのは事実でしょう。
また地面師事件の舞台となった五反田の「海喜館」を元々知っていた身からすると、本書の内容がなおさら滑稽で仕方ありませんでした。
本件は「地面師たちが凄かった」わけではなく、「当たり前に気づける9つの事実が見逃されていた」背景があります。
本書を読む前、「積水ハウス内部に地面師と通じていた人間がいたのでは」とあいろんは個人的に訝っていました。
しかし本書を読む限り、「腐った組織で気づけて当然のことにも気づけなかった」というニュアンスの方が近そうです。
事件の後で本件の舞台となった五反田の海喜館跡地は、正式に旭化成不動産レジデンスが土地の取得を発表致しました。
地上30階建てのタワーマンション「アトラスタワー五反田」は2024年3月に完成、213戸が完売御礼となっています。
タワーマンションに罪はありませんが、ドラマ性を感じてしまいます。
ハウスメーカーに勤務している友人に読ませたところ「どの会社も似たり寄ったり。
業界を知るには良い本だよ」としきりに言っていました。
これだけありえない詐欺にあったり内部統制が出来てないと、会社としての信用は出来ないな〜。
決戦!株主総会〜LIXIL死闘の8ヶ月〜
「保身」は前述の通り、組織としての在り方に疑問を感じながらも保身に走る小物がのさばる背景が描かれていました。
ドロドロのノンフィクションより「スカッとしたノンフィクションが読みたい」という場合には、LIXIL社の「決戦!株主総会」の方がおすすめです。
こちらは日本でも史上初と言われている、「株主総会での逆転人事」が起きた8ヶ月を詳細かつ丁寧に描かれたノンフィクション書籍です。
「事実は小説よりも奇なり」を体現しているような、ドラマチックな結末になっています(笑)
LIXIL社は2011年に住設メーカー5社(トステム、INAX、新日経、サンウェーブ、東洋エクステリア)が合併して出来た、建築材料・住宅設備業界の最大手会社です。
因みにLIXIL社はグループとして住宅フランチャイズを導入している「LIXIL住宅研究所」を傘下に持つほか、中堅住宅メーカーの「サンヨーホームズ」の筆頭株主でもあります。
戸建住宅市場においても、存在感を発揮している会社なんだね。
LIXIL社の概要は下記の通りです。
- 東京都江東区に本社を置く総合住設メーカー
- 東証プライム所属
- 傘下に約270のグループ会社を抱え、150以上の国や地域でサービスを提供している
- 従業員数は全世界で約60,000人
- トステム、INAXの旧2社の色合いが濃い
- 最も力を持っているのはトステム社の派閥である
- 売上高は連結で1.4兆円
- 住宅設備シェアNo. 1、業界でも圧倒的な第一位
- 業界的にはTOTOや三和シャッターなどニッチプレイヤーは存在するも、LIXILとパナソニックの2強体制
本書は、約3%の株式しか持たない創業家出身者がプロ経営者であるCEOの瀬戸欣也氏を理不尽に追い出すところから話が始まります。
話としては積水ハウス社と形は違えど、一部の利権者の「私利私欲」から正常とは言えない人事が行われるところまでは同じです。
しかしながら、本書は最終的に瀬戸欣也氏がCEOに復帰するまでの道筋が描かれています。
それを筆者は「コーポレートガバナンス」がより身近に感じられるよう面白く表現してくれています。
コーポレートガバナンスと呼ばれる「小難しくて理解しづらい」かつ「重要性は増す一方」の題材をここまでの読み応えにした筆者の取材力、表現力には驚きます。
また、CEOの瀬戸欣也氏が会社を追い出された後で戦いを挑み、再度CEOに返り咲くという事実が後世に残した功績についても本書は語っています。
LIXILどころか日本企業全体にとって、コーポレートガバナンスを揺るがした大きな変化点でしょう。
マンモス企業のLIXIL社が創業者の良いようにされず、しっかりしたガバナンスを持って経営を行われている点には好感を持てます。
Amazonのレビューでも4.5とかなりの高評価を得ているベストセラーです。
ノンフィクションというよりは、ビジネス小説を読んでいる感覚で楽しめる良書です。
本当に面白すぎて一気読みをしてしまいました。
半沢直樹シリーズが好きな方は間違いなくハマります。
パパは積水ハウスの「保身」を読んだ後にLIXILの本を読んでたから、余計にずっと「やっぱり正義は勝たないとね」ってつぶやきながら読んでたよね(笑)
住宅営業マンぺこぺこ日記〜「今月2件5000万!」死に物狂いでノルマこなします〜
上記で紹介した2冊のノンフィクション書籍は、実話に基づいておりとても読み応えがあります。
ただ、前述の2冊は内容がビジネスマンでないと理解しづらいでしょう。
確かに働きはじめる前の学生が読んでも、業務やビジネスシーンがピンとこないかも。
「もう少しカジュアルに住宅業界を知りたい」
「気楽に読める住宅系のノンフィクション書籍が知りたい」
そんなあなたには、「住宅営業マンぺこぺこ日記」がおすすめです。
本書の書き出しは、下記のように始まります。
「住宅営業マンと聞いて、みなさんはどんなイメージを持つだろうか?」
清潔感のある身なり、スマートな話し方、建築知識・税務情報の豊富さ、高額商品を扱うやりがいのある仕事、実力次第で高収入…
プラスの評価を見れば、それも事実であろう。
しかし、数多ある営業職の中でも群を抜いたハードワークであり、また極めて高い離職率を誇るのが住宅営業という職種なのである。
上記を読んだだけで、「住宅営業マンのリアル」が気になる!なんか大変そうなのが伝わってくる!
実際にお客様の収入からローン額、家族構成や勤務先、果ては人生設計まで把握しないと住宅営業は務まりません。
大手ハウスメーカーS社で部長職の友人曰く、「今も昔とプレッシャーと常に隣り合わせ」だそうです。
前述の2冊とは異なり、タマゴホーム(仮称)に勤務する「1人の営業マン」のリアルを描いています。
本書の特徴としては、下記になります。
住宅業界ぎ、これでもかとリアルに感じられる作品です。
本書については別で記事をまとめていますので、興味を持ったら是非こちらも合わせてお読み下さい。
タマゴホーム=タ◯ホームっていうすぐわかっちゃうセンスも面白いんだよね〜♪
住宅業界に勤めている友人たちからも、「マジで大体合ってる」「リアリティがすごい」と絶賛の嵐でした。
ラップアップ
今回は「住宅業界」の闇に迫るノンフィクション系のおすすめ書籍3冊を紹介しました。
個人的には自分の会社の環境を確かめたり、今後の人生について顧みる際に是非知っておきたいリアルな事情だと感じました。
ビジネスマンは3冊とも読んでおいて損はないです。
単純に面白いのですぐ読めてしまいます。
最後に一言。
世の中思い通りにはいかない事もあるけれど、信念を曲げるとか、越えてはいけない一線がある。
信念を持って仕事に邁進したいものですね。
そるとちゃん、すごい立派な感想でびっくりだよ…
大人でも出てこないよその感想…
それではまた!