書評

「普通の会社員にもできる日本版FIRE」の参考点と違和感について解説

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あいろん

ふむふむ…参考になるなぁ。

あー、ここは全然参考にならないなぁ。

そると

パパ、何を一人で本読みながらふむふむ言ってるの?

あいろん

新しいFIRE本が出たからチェックしてるんだけど、中々目線が面白いというか…FIRE本というか年金の本だねこれは(笑)

そると

へぇ、そるとも年金はまだあんまり勉強していないから読んでみようかなぁ。

あいろん

(そるとちゃんが年金もらう頃にはルールが変わってそうな気がするけど)

こんにちは!

タイトルで煽っているな〜と思いつつ、ついついFIRE本を読み漁ってしまうあいろんです。

この記事はこんな方に向けて書いています。

  • 会社員
  • FIREを目指す気概がある
  • FIREの目標年齢を決めかねている
  • FIREした後の支払いなど、シミュレーションを細かく行いたい

結論としては、下記になります。

  • キーワードは「稼ぐ、節約する、増やす」
  • 4%ルールには粗さが残る
  • 生活費の25倍貯めたからFIREという発想の持つ危うさについて
  • FIRE後の必要支出やシミュレーションを具体的に記載してある
  • FIRE本としては保守的な思考スタイル

それでは早速行ってみましょう!

本書の構成について

今回は2021年7月に発売した、山崎俊輔氏の著書「普通の会社員にもできる日本版FIRE超入門」を読んでみて、参考になった点とならなかった点含め、率直にご紹介します。

大前提として、本書はファイナンシャルプランナーの山﨑氏が下記を基に構成しています。

  • 会社員(サラリーマン)が
  • 経済的自由(financial independence)を
  • 定年より早期に達成する(early retirement)

また、サラリーマン向けのFIRE本の影響でしょうか。リタイア年齢についても下記3パターンで話が展開されます。

  • 40代でのFIRE
  • 50代でのFIRE
  • 60歳でのFIRE(プチFIREと書籍内では呼ばれています)

正直、他のFIRE本に比べて良く言うと「現実的」悪く言うと「夢がない」内容が色濃いです。

アプローチ的にはまず65歳まで働かずにマイナス5歳の「プチFIRE」を確実なものとして、余裕があれば50代、40代とチャレンジしていきましょうという内容です。

30代前半サラリーマンのあいろんとしては、一意見としては至極真っ当と思う反面、若干現実的すぎるかな?と感じました(笑)

ただ、FIREというよりはリタイアの指南書と考えたら一読の価値はある内容です。

FIREのキホン

本書に限らずFIRE関連全般で取り沙汰されますが、FIREの1つの指標として「年間4%の収益を得て取り崩す」4%ルールがあります。

資産の4%を取り崩しながら年4%のリターンを得続ければ、計算上資産は減らない…ということですね。

そのための戦略は下記だと筆者は主張します。

  • 年収をもっと増やす
  • ムダな支出を減らす
  • できるだけ高利回りで増やす

この辺りは、他のFIRE本でも紹介されていますし、リ◯大が特にわかりやすく紹介されていますので興味ある方は是非ご覧ください。

年収を増やすための「転職」にも言及していますが、もはや現代においてサラリーマンFIREを目指すのであればこの辺りは必須知識だとあいろんは考えます。

稼ぐ

本書においては「生涯獲得収入の面積を広げる」ことに重点を置いて解説しています。「副業」にもふれていますが、どちらかというと「本業」での収入アップとして転職について多めに言及しています。

平均賃金が高い会社に移ることによる年収アップは、サラリーマンのもっとも現実的な「稼ぎを増やす」手段です。

実際にあいろんが以前に勤めていた会社でも、良く下記のような声が聞こえました。

  • 上がつかえていて昇進できない(遅い)
  • 下が定着しない(現状維持のポジション)

そして極めつけに大きい仕事をやり遂げた際、下記のように言われました。

「周囲と比べ、最大限の評価をしている」

それでも賃金はほとんど変わりませんでした。

このような日系企業においては、自分も会社を評価する必要があります。

「自分のことを適切に評価してくれる会社にいく」のは当たり前ですよね。会社規模や体力的に平均賃金が高い会社に移ることが、

プロ野球選手がFA権(フリーエージェント)を行使して強豪チームに移籍することと同じで、経済合理性の観点から考えれば当然だとあいろんは考えます。

また、書籍内に「年収が高くて働きがいもある」職場は案外見つかる、という項目があります。

あいろんも「年収がアップした」以外に、転職は下記の副次効果をもたらしてくれました。

転職の副次効果
  • 仕事のスケールが大きく、ダイナミズムもある(やりがい向上)
  • 同僚に同じ価値観の人間が多い(良好な人間関係)
  • メリハリのある働き方(労働条件向上)

転職に関しては一度条件を良くすれば次は「さらに良い条件」だけを目指していけるため、2〜3社かけてのキャリアアップも視野に入れると良いでしょう。

節約する

FIREを目指すにあたり必ず避けては通れない「節約」ですが、本書には金融広報委員会の調査として貯蓄割合は手取りの「13%」が平均だそうです。

平均値はすべからく貯蓄率80〜90%の「仙人」レベルの人たちが平均を押し上げていると考えれば、実際の中央値は手取りの10%以下と予測します。なので名著「バビロンの大富豪」でも黄金の教えとされている、「収入の10分の1を貯蓄に回す」というアイデアは実践できている人の方が実際は少なそうです。

また、著者の山崎氏がファイナンシャルプランナーとしてアドバイスするときは、「25%」を超えての貯蓄は十分すぎると伝えるそうですが、FIREを志すにはまだ物足りないとも意見しています。

※大体年収の25%=手取り額の35%程度

具体的には年収を25%以上貯蓄に回しても大丈夫なくらい上昇させた上で、衣食住の固定費の削減を説いています。あいろんもこの点には非常に同意です。

「衣」はファストファッションでも十分すぎるほどおしゃれを楽しめる時代です。あいろんも昔は良くセレクトショップで購入していましたが、現在はもっぱらユニクロやGUに頼ることが多くなりました。

「食」も贅沢をせずとも美味しい食材を頂けます。しかしながら本書にも記載してありますが、統計的には2人以上の世帯で月あたり8万円の食費がかかっており、節約でここを大きく割り込むのは難しいと考えます。

「住」に関しては本書には記載がありませんでしたが、あいろんはサラリーマンなら間違いなく「社宅」をすすめます。(特に借上社宅)

本書では住宅は月収の20%以下を理想という記載がありますが、特に借上社宅なら生活満足度は下がらず月収の10%以下で住めるケースも珍しくないので、興味がある方は下記記事をご覧下さい。

住宅の福利厚生について例を紹介しています。

年収700〜800万円で手取りが550万〜600万くらいだと仮定すると、上記の住宅費でいければ貯蓄率50%以上は十分見えてきます。

増やす

本書は堅実なファイナンシャルプランナーの山崎氏の著書という事もあり、資産を増やすための「資産運用」についても固いスタンスです。

前述の「年収増」「徹底的な節約」さえ出来てしまえば、過剰なリスクをとらずともFIREできると著者は主張しています。

(長期的な経済の右肩上がりが前提)

そしておすすめはインデックスファンドです…という流れは本ブログでも幾度となく紹介していますし、正直どの資産運用本にも書いてある通りです(笑)

本書の投資で「増やす」行為、及びインデックスファンド投資についての要旨は下記の通りです。

インデックスファンド投資について
  • 手数料は低い商品を選ぶ
  • 長期積立で年利4〜6%は運用利回りが取れる
  • インデックスファンドはバランス型ファンドがおすすめ
  • iDeCoとNISAは活用するべし
  • 投資家の多くはリスク愛好家が多く、自信過剰でインデックスより高いリスクを取りたい人が多い
  • 上記より、個別株やFXなどおすすめしない

あいろんも概ね同意できますが、2点意見の相違がありました。

まず「バランス型ファンド」についてですが、あいろんは個人的には資産形成期の長期投資は株式一択派です。なぜなら債券やコモディティでリスクを分散したつもりが、株式のリターンを引き下げてしまうと思っているからです。

名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」が示す通り、株式の標準偏差は15年を超えるとプラスになってくることをあいろんは前提としているからです。この前提をベースに考えると、バランス型ファンドは「ムダに利回りを悪くするだけ」とあいろんは考えます。

良く言われますが、バランス型ファンドはどんな経済事情でも「ビリは絶対とらないけど一位にも絶対ならない」特徴の商品です。

この辺りは個人のリスク許容度もあるにせよ、投資信託商品のランキングにバランス型ファンドが多いことにあいろんは正直「?」でしたが、FPや証券会社の立場としてはすすめやすい商品なのかな、と感じました。

2点目の「個別株やFXはおすすめしない」ですが、投資家はリスク愛好家で自信過剰という点には膝を打ちました(笑)

確かにそう言われても仕方ありません(笑)

しかしながら本書でも「時間効率的におすすめしない」だけであり、部分的に組み入れることは問題ないと筆者は述べています。

例えば1,000万円の資金があって、100万円以下でFXするのはサテライトの利回り運用的にあり、ということです。

大事なのは、それ以上リスクを取りすぎないことだと主張しています。

この点、あいろんも同意しており個別株は5%ルールを設けての運用を徹底しています。

FIREに必要な基礎知識

本書ではFIRE後の具体的な項目について、下記の通り述べています。

FIRE後の問題
  • FIRE後もかかる費用は国民年金保険料、国民健康保険保険料、介護保険料
  • 家や保険はどうするか
  • 子どもや家族はどうするか
  • 標準的な2人分の年金は大卒初任給程度

この章からはFIREというよりは年金に関しての話題が多いですが(笑)、特にサラリーマンは控除されている金額について疎い場合も多いので、確認も兼ねて一読しておくとためになる内容が多くありました。

FIREのシミュレーション

最後に、本書において紹介していた3つのFIREパターン別での必要額が記載されています。

FIREパターン別での必要額
  • プチFIRE(60歳から)・・・4,000万円(生活費400万円×5年、老後2,000万円)
  • 50歳代FIRE・・・6,000〜7,000万円
  • 40歳代FIRE・・・8,000万円〜1億円

※ただし、下記が前提

  • インデックス投資で年利4%を得るものとする
  • 早期に年収を600万〜1,000万に到達させる
  • 貯蓄率は50%以上前提

詳細は本書に譲りますが、贅沢せず最低限の生活だけで良ければ1億円前後でFIREの可能性が見える、という思考に関しては一定の信憑性がありそうです。

ラップアップ

今回は「普通の会社員にもできる日本版FIRE超入門」を紹介しました。

やや保守的なスタイルではありながら、年金や各種控除の話も含めてFIREを目指す方は復習がてら読んでみて間違いない内容といえます。

あいろんも面白くてついつい2.3日で読みきってしまいました(笑)

最後に一言。

あいろん

FIREは目指す過程こそ面白い。

個人的には仕事は続けるスタイルのサイドFIRE推しです。

それではまた!

ABOUT ME
あいろん
30代半ばのサラリーマン。 大学卒業後、中堅メーカーに就職。 現在は、大手IT系企業に勤務。 プライベートでは1児の父。 娘のそるとちゃんを溺愛しています。 仕事・投資・その他マネーハック的な記事含め書いています。 FIREは目指していますが、働くのが苦でない系サラリーマンです。
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