書評

「90点以下は、やらない」エッセンシャル思考の要約と危険なポイント3選

そると

ねぇパパ、仕事と家族だったらどっちが大事?

あいろん

そるとちゃん、急にどうしたの(笑)

家族に決まってるでしょ。

そるとちゃんより大事なものは存在しないよ。

そると

じゃぁ、健康と友人だったら?

あいろん

うーん…友人ももちろん大事だけど、健康は全ての源だからね。

二択だったら健康かな。

ただパパは「健康と友人は金で買えない」から大切にしなさいと教えられてきたし両方大事にしたいよ。

そると

合格!パパはしっかりエッセンシャル思考出来ています!

あいろん

(テストされてたんだ)

こんにちは!中堅サラリーマンにはエッセンシャル思考が必須スキルだと思っているあいろんです。

今回は書籍「エッセンシャル思考」を読んで、要約と勘違いしがちな危険ポイント3選を紹介します。

この記事はこんな方に向けて書いています。

  • 忙しい日々を改善する思考法に興味がある
  • 自分にとって大事なものは何か見つけたい
  • エッセンシャル思考をビジネスに活かしたい

結論としては、下記になります。

  • 世の中の大半のものは「ノイズ」である
  • 世の中は「トレードオフ」で出来ている
  • 「本質をつかみ取る力」は鍛錬によってのみ磨かれる

それでは早速いってみましょう!

エッセンシャル思考とは

書籍「エッセンシャル思考」は、2014年にシリコンバレーのコンサルティング会社CEOのクレッグ・マキューン氏の著書です。

本書の伝えたいメッセージはとても明確です。書籍内で頻繁に登場する「より少なく、しかしより良く」を追求するのがエッセンシャル思考の本質だと著者は主張しています。

あいろんが特に本書を勧められるのは、下記のような方です。

  • 経営者
  • ある程度経験を積んだビジネスマン
  • 管理職層

要は「忙しい」人に向けて時間創出の考え方を説いている本なので、逆に時間のありあまる学生などではピンと来ないこともあるでしょう。

本書ではエッセンシャル思考をより良く伝えるために、20章に分けて展開されています。

例えば、第8章のテーマは「睡眠」で、睡眠に関する様々な内容が記載されています。

  • 1時間の眠りが数時間分の成果を生む
  • 一流のバイオリニストはよく練習するだけでなく、よく眠るという事実

「ランチは負け犬のもの」「睡眠は子供のもの」なんていう80年代の価値観はなく、睡眠こそが優秀さの証である

上記のように各章ごとに展開されている内容からあいろんが「万人に共通しやすい」「内容が活かしやすい」6点にポイントを絞って要約していきます。

また、エッセンシャル思考自体は非常に汎用性が高いのですが、いきすぎたエッセンシャル思考が組織や個人に危険をもたらす可能性についても言及していきます。

エッセンシャル思考要約6選

  1. 選択
  2. ノイズ
  3. 孤独
  4. 洞察
  5. 拒否
  6. 前進

選択

本章は、下記の言葉から始まります。

「われわれを人間にするのは、選択する能力である。」

選択とは行動であり、与えられるものではなくつかみとるものである。

言葉にすると当たり前すぎる「選択」する能力の大事さですが、本書ではそれを手放してしまう理由として「学習性無力感」を挙げています。

仕事で努力をしても無駄という経験から、人間は2つのパターンに分かれるそうです。

  • 努力をすっかりやめてしまう人
  • 逆に働きすぎて、あらゆる仕事を引き受ける人

努力をやめる人が褒められたものでないのは誰でもわかります。しかし「引き受けすぎる人」は一般的には勤勉で働きものな印象を受けるでしょう。

著者に言わせると引き受けすぎるのは「選択肢を考えようとしていない」と同義であり、何かを選べば何かを捨てざるをえないというトレードオフが出来ない人間、という事になります。

ノイズ

「大多数のものは無価値である」

ノイズについて述べている本章にもビジネスの本質が凝縮されています。

「努力は大切だ。だが、努力の量が成果に比例するとは限らない。がむしゃらに頑張るよりもより少なく、しかしより良く努力した方が良い」

著者は本書で上記のように主張しています。

考えてみれば至極当然の話をしていますが、どれだけの人が「より少なく、しかしより良く」を実行できているでしょう?

あいろんが今日の昼に行おうと思っていた本記事の執筆が22時現在、行なっているのはなぜでしょう?(笑)

  • 友人から来たLINE
  • なんとなく見てしまうTwitter
  • 不意にしてしまった昼寝

全部ノイズです。ノイズを遮断しきれてない故の当然の結果です。

上記のように、日常にありふれているノイズとの付き合い方を再考させられる内容になっています。

孤独

「深い孤独がなければ、まともな作品はつくれない。」

上記はパブロ・ピカソが残している名言です。

本章のテーマは「考える時間を取り戻す」であり、様々な偉人の例が紹介されています。

かの有名なアイザック・ニュートン氏の例を見てみましょう。万有引力の法則の論文執筆の際、2年間ほぼ引きこもっていたそうです。

どうやって法則を発見した際、こう答えたそうです。「考え続けていたんだ。」

上記が並大抵の「考え続けていた」でないことは想像に難くありません(笑)

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も「孤独」の愛好者で知られています。

ビル・ゲイツ氏はどれだけ忙しさの最中にあっても、年に2回は必ず1週間ほど仕事を離れ、大量の本や記事、最新技術に触れて想いを馳せているそうです。

上記のようなスーパー偉人たちでさえ忙しさの合間を縫って時間を作っているのに、自分程度が「忙しい」を理由に時間を作れていない事実に深く反省の意を感じた内容でした(笑)

洞察

「あらゆる事実には、本質が隠されている」

洞察の章では、情報の本質をつかみとるヒントを教えてくれます。

例えば、洞察のプロであるジャーナリストはどのように事実を拾い上げるのでしょう。

本書では下記のように記されています。

「単に情報を受け渡すだけなら、誰にでもできる。すぐれたジャーナリストは、情報の断片を調べ、それらの関係性を発見する。部分の集まりから全体像をつくりあげ、人々に通じる意味を付与する仕事だ」

ささいなことに気を取られすぎると、大局を見失う。あるあるかつ致命傷につながりかねない失敗です。

拒否

「断固として上手に断る」非常に難しいことです。

この章では、シンシアという女性のエピソードにあいろんは強く胸を打たれました。以下、少しだけ本文よりご紹介します。

昔、シンシアの父親がサンフランシスコへの出張に連れて行ってくれた。

当時12歳だったシンシアは、父親との「デート」を数ヶ月前から楽しみにしていた。

プランは完璧だった。

父親の講演を最後の1時間だけ聞き、4時半に控え室で落ち合う。

誰にもつかまらない内に会場を出て、ケーブルカーでチャイナタウンへ向かう。

好物の中華料理を食べて、お土産を買い、観光して映画を観る。

それからタクシーをつかまえてホテルに戻り、プールでひと泳ぎ。

ルームサービスで生クリームたっぷりのホットファッジサンデーを頼み、気がすむまで深夜のテレビを堪能する。

シンシアと父親はこのプランを念入りに話し合い、計画を立ててワクワクしていました。

ところが当日、トラブルが発生します。

講演会場を出ようとした時、父親の仕事仲間にばったり出くわしてしまったのです。

「埠頭に最高のシーフードを食わせる店があるんだが、一緒にどうだい?シンシアも一緒にね」

「それはいいね。埠頭でディナーとは、最高だろうな」

父親の言葉を聞いて、シンシアは心底意気消沈したそうです。

しかし、父親は続けます。

「でも今夜は駄目なんだ。シンシアと特別なデートの約束をしているものでね」

そういって父親とシンシアは再び歩き出し、サンフランシスコで一生忘れられない夜を過ごしたそうです。

この父親とは、実は名著「7つの習慣」で有名なスティーブン・コヴィー氏だそうです。

娘のシンシアさんはコヴィー氏の死後に下記の通り語っています。

「この出来事のおかげで、父とのあいだには永遠に切れない絆が生まれました。私がもっとも大切な存在だと示してくれたからです」

コヴィー氏は娘を優先するという決断によって、いつまでも消えない思い出を娘にプレゼントしたということです。

あいろんは上記を読んだ瞬間、雷に打たれたように痺れました。コヴィー氏を深く敬い、尊敬します。何があっても娘へ態度で示せる父親でありたいと強く感じました。

前進

「小さな一歩を積み重ねる」

そんな当たり前のことながら、カナダのリッチモンド市の警察は小さな一歩により犯罪率を大きく下げた稀有なケースとして本書で紹介されています。

リッチモンド市のウォード・クラッパム氏は若くして署長に就任し、それまでのやり方に疑問を投げかけたそうです。

「なぜわれわれは、犯罪が起こるまで待たなくてはならないのか?なぜそんなに受け身なのか?」

そしてクラッパム氏は「ポジティブ・チケット」と呼ばれる善行に対して警察から与えられる切符をスタートさせました。

ポジティブ・チケットは映画館やコミュニティーセンターに無料で入れる引換券にしました。

このリッチモンド市の型破りな取り組みは、10年後に青少年の再犯率が60%→8%に激減するというとんでもない効果を明らかにします。

本書では下記のように記しています。

「ちょっとした善行をほめるというクラッパム氏のやり方は、小さな成功を認めることの大切さを教えてくれる」

車にひかれそうになっていた少女を助けてポジティブ・チケットをもらった少年を、警官は切符と共にこう声をかけました。

「すばらしいことをしたね。君は立派なことのできる人だ」

少年は家に帰り、ポジティブ・チケットを飾りました。何に引き換えるのか?との母親の問いに少年は答えました。

「引き換えないよ。ずっと持っておくんだ」

この少年のような一歩が年間4万件、10年間積み重なった結果には驚きを禁じ得ません。

これは、日本の警察も全国的に取り入れた方が良いのでは…と強く感じた内容でした。

エッセンシャル思考が危険なポイント3選

  1. 効率重視
  2. 初心者
  3. 拒否

前述の通り、エッセンシャル思考は様々なポイントから「より少なく、しかしより良く」を考えていく思考法です。

この思考法は万人に使えますが、場合によっては少し極論になってしまう危険性もはらんでいます。

現に「エッセンシャル思考」で検索キーワードを引っかけたときに「エッセンシャル思考 危険」がトップキーワードにあがってきます。

エッセンシャル思考が危険な3パターンについても、下記にて紹介します。

効率重視

「より少なく、しかしより良く」は考え方として非常に重要です。あいろんの体感ですが、総じて最近の10〜20代の人はこの考え方が非常に上手だと思っています。

おそらく生まれた時からデジタル製品が身近にあり、「時短」や「効率」を無意識的に重視するライフスタイルだったためでしょう。

あいろんの後輩の中でこの「効率重視」にとらわれすぎて、苦労した部下が実際にいました。

その部下はとても優秀で、仕事も早く覚えも良い優秀な人間でした。

しかしながら、やや「効率」に傾きすぎるあまり、他人の行動を見て「効率悪い」とか、自分の仕事だけさっさと終わらせて帰ってしまうなどの行動が目につきました。

本人は知ってか知らずか、「エッセンシャル思考を出来ている」と思っていたのでしょう。

しかし周りの評価は違いました。

「あいつとは仕事したくない」

「この間サボっていた」

「話したくないからあいろんから言ってくれ」

上記のギャップは効率重視が陥りがちな落とし穴です。別に非効率を推奨するわけではないのですが、この手のタイプは長い目で見ると「可愛げとガッツがある若手」に数年で抜かれたりします。

内容によるとはいえ、基本的には仕事は人と行うものです。特に若い内は先輩や上司から任される仕事で伸びしろの差が出るという不都合な真実があります。

初心者

「量が質を凌駕する」という言葉があります。

実はあいろんは個人的には上記の言葉が好きなタイプです(笑)効率化も良いですが、圧倒的な量の中からしか自分に合った質は探せないというのが持論です。

上記の理由により、エッセンシャル思考の考え方は素晴らしいですが、初心者や初学者には向かない思考法だとあいろんは考えています。

正直言って、最初から「エッセンシャル思考にこう書いてありますよ」なんていう新入社員がもし入ってきたら張り倒すと思います(笑)

やっていく中で自分なりに考えるのは大いに大歓迎ですが、やりもしないで質だけを追うというのは現実的ではないです。

少なくともあいろん世代より上の30代以上からは良い反応を得られないと思うので、やめておきましょう。

拒否

前述の「エッセンシャル思考要約6選」内では、シンシアのエピソードで深く感動した「拒否」ですが、これも使うタイミングや相手によっては大変危険です。

例えば、シンシアのエピソードでコヴィー氏は娘から一生語り継がれる絆を手にしました。しかしながらもしこの日、ばったり会った人を優先してしまっていたら?(シンシアを拒否していたら?)

拒否の使い方はとてもシビアであり、勇気がいる行動です。

「とりあえず重要じゃないし、何でも断れば良いや」くらいの浅い理解だと、逆に長きにわたって生きづらくなる可能性すら秘めています。

「拒否」だけに限らないですが本書の内容は文化の違いや立場の違いも考慮しながら、自分なりに取り入れていく柔軟さが求められます。

ラップアップ

今回は書籍「エッセンシャル思考」を読んで、要約と勘違いしがちな危険ポイント3選を紹介しました。

刺さるポイントが多い良書ですので、是非じっくりと手に取ってみてください。

最後に一言。

そると

パパもコヴィーさんを見習って、ちゃんとそるとをエスコートしてね♪

それではまた!

ABOUT ME
あいろん
30代半ばのサラリーマン。 大学卒業後、中堅メーカーに就職。 現在は、大手IT系企業に勤務。 プライベートでは1児の父。 娘のそるとちゃんを溺愛しています。 仕事・投資・その他マネーハック的な記事含め書いています。 FIREは目指していますが、働くのが苦でない系サラリーマンです。
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