パパ〜、経済学について興味が出てきたから文献を読み漁っているんだけど、いまいち面白くなくて…なにかおすすめの本はある?
そるとちゃん、学者みたいなこというね…
経済学っていうのは「人間誰しも合理的に行動する」というのが根底にあるから結構違和感を感じやすいんだよね。
最近では経済学に心理学も取り入れた「行動経済学」っていう分野が主流になってきてるんだよ。
へ〜、そっちの方が面白そう!
その中でもパパのおすすめを教えて〜。
行動経済学の書籍はあるけど、外せないのは「予想通りに不合理」かな。
紹介するね。
こんにちは!実は大学では経済学を専攻していたあいろんです。
今回は、経済学分野の中でダントツに面白く、日常生活に活かしやすい「行動経済学」を紹介します。
参考書籍としてダン・アリエリー氏の著書「予想通りに不合理」を基に紹介します。
この記事はこんな方に向けて書いています。
結論としては、下記になります。
それでは早速いってみましょう!
行動経済学とは
前述の通り、長年にわたり経済学という「おかね」を扱う分野は人間の感情が伴わない状況下での合理的な判断が下される前提で研究されてきました。
でも、冷静に考えてみると実際の生活や消費において、そんな事はありえません。
例として、「予想通りに不合理」の触りより一部抜粋してみます。
ダイエットするぞと心に誓ったはずなのに、デザートを載せたカートが近づいてくると決意がどこかへ行ってしまうのはなぜだろう
別に必要ないものでもないのに、気づいたら目の色を変えて買い漁っていたりするのはなぜだろう。
上記行動は、経済学的に「不合理」とされます。
ただ、日常生活で「あるある!」と膝を打った方も多いのではないでしょうか。
少なくともあいろんはめちゃくちゃ共感しました(笑)
上記のように必ずしも人間は合理的な行動を取りません。それどころか、しばしば不確実性が伴う状況下においては、非合理的な行動を選択することがわかっています。
このような人間の感情に着目し、心理学に基づいて現実的な理論として「行動経済学」が広く世に広まりました。
「予想通りに不合理」
さて、前述の通り行動経済学は人間の「心理」にも着目しています。
そんなとても面白くてタメになる「行動経済学」ですが、経済学の基礎がないとどうしても言葉が難しくて関連書籍を読む気が失せる…という欠点があります。
そんな中、2013年に書籍「予想通りに不合理」が発刊されました。この本の副題は「行動経済学が明かすあなたがそれを選ぶわけ」です。
あいろんも初めて読んだ時は下記に非常に驚きました。
いくつか本書からの具体例を紹介してみます。
具体例①やけど病棟にて
やけどしている患者の1番の苦痛「入浴」時、看護師たちはできる限り患者が辛くならないよう「すばやく、一気に」包帯をはぎとっていた。
しかしながら消毒液のなかで包帯をはずすような処置をする時は、強い力で短い時間でするより、弱い力で長い時間をかけてする方が痛みが少ないことが研究でわかった。
具体例②無料!の力
下記のように値段設定して、販売した。
- リンツのトリュフチョコレートを15セント
- キスチョコを1セント
リンツのトリュフチョコは相場よりはるかに安い。この時は合理的に行動する人が多く、およそ73%がトリュフチョコを購入した。
次は、1セント減らして販売した。
- リンツのトリュフチョコレートを14セント
- キスチョコを無料!
トリュフチョコ購入者は31%に減り、格安でリンツのトリュフチョコを手に入れる機会を棒に振った。
上記はあくまで本書の一例に過ぎませんが、この調子で著者が丁寧かつ大胆に様々な実験を行った結果が記されています。
本書は、普通の経済学が「まったく完全に機能していない」ことを良く証明してくれます。
退職後に備えて十分な蓄えをしていない人は、なぜ多いのか?については、複数の要素があります。
- 人は先延ばしをするから
- 貯金しないことの損失を理解するのが難しいから
- 持ち家があれば金持ちになった気がするから
- 消費習慣をやめるのは難しいから
どれも、ちっとも合理的ではありません(笑)
本書はこの「不合理さ」には「規則性」があり、予想して解決策を導き出せると説いています。
非常に面白いので、興味がある方は是非手に取ってみてください。
番外編:プロスペクト理論とは
「予想通りに不合理」では難しい用語などが出てこないのですが、投資家が知っておきたい行動経済学の理論として「プロスペクト理論」があります。
今回、番外編として紹介します。
プロスペクト理論は、行動経済学の中でも特に有名な学説です。
簡単に説明するとこんな感じです。
「不確実性が伴う意思決定下において、合理的な意思決定に歪みが生じる」
はい、全然よくわからないですね(笑)
例を用いてわかりやすくしてみます。
あなたは「クイズミリオネア」的な番組に出演しています。
例1
じゃんけんで目の前のみ○もんたさんに勝利すれば賞金を獲得出来ますが、2つのルールからどちらかを選ばねばなりません。
①勝ったら100%の確率で80万円獲得
②勝ったら80%の確率で100万円獲得(20%は0円)
統計的には、①を選ぶ人が多くなっています。
例2
例1は「お金をもらえる」話でしたが、今度はみ○もんたの攻撃ターンです。「お金を失う」話です。あなたはじゃんけんで負けた時、下記のようなリスクを背負っています。
③負けたら100%の確率で80万円支払う
④負けたら80%の確率で100万円支払う(20%は0円)
すると今度は、④を選ぶ人が多くなります。
実は上記の①②及び③④の期待値は同じです。
下記の様に導き出せます。
80万円×1=80万円
100万円×0.8=80万円
それなのに、人間は「得するか」「損するか」によって全く違う行動を取りたくなります。
これこそが、投資の世界で「損小利大」を難しくする正体です。
損失は回避したくなるので20%の0円にすがりつき…
利益は確実に手に入れたいので期待値は同じでも早めに確定してしまう…と言うことです。
この理論を知るまで、あいろんは自分の不合理な行動に「自分は意思の弱いダメな人間だな…」ともやもやしていたのですが、むしろ正常な反応ということがわかった時は青天の霹靂状態になりました(笑)
さて、このプロスペクト理論ですが様々な分野で応用がされています。
- マーケティング
- 投資
- ギャンブル
この理論の特筆すべき点は「知っているだけで損失回避の罠から逃れられる」というところです。
自分は今プロスペクト理論にはまってるな…という冷静な判断が出来れば、期待値判断の上で適切な損切りが可能になるということですね。
行動経済学は日常にも密接に関わることが多く、「あるある」的なネタも多いので非常に面白いです。
興味がある方は是非書籍を手にとってみてください。
ラップアップ
今回は、経済学分野の中でダントツに面白く、日常生活に活かしやすい「行動経済学」を紹介しました。
少しでも参考になれば幸いです。
最後に一言。
予想通りに不合理なんだけど、夜中に食べちゃうラーメンがやめられない…(笑)
それではまた!